がんの病理組織学的所見(生検を含む)とは?
がん保険とがんの診断確定について

がん保険の約款を見ると、「悪性新生物(または上皮内新生物)の診断確定は病理組織学的所見(生検を含む)によってなされることを要します。」などと記載されています。

では、病理組織学的所見(生検を含む)とは何でしょうか。 ここでは、「生検」とともによく見かける用語として「細胞診」をもとりあげ、両者対比して解説します。

◆ 細胞診(細胞診断)とは
名前のとおり、患部の細胞を針や麺棒で擦り取るなどして採取し、顕微鏡でひとつひとつの細胞の形状・様相などを観察することをいいます。
採取するのは微量の細胞ですので、身体的負担が軽く、検査費用も抑えられますが、一般にがんの診断確定をするには精度の面で不充分と考えられています。
細胞診は、患者の診療の初期段階において、疑われる病名の絞込みや、集団検診におけるスクリーニング(病気の疑いのある人を抽出するための一次的検査)などに活用されています。


◆ 生検(生体組織検査)とは
生体から病変の一部または全部を鉗子や太目の針を使って採取し、細胞組織の標本を作って顕微鏡などで観察することによって、病理組織学的所見を得ることを言います。
細胞診と異なるのは、細胞診が1個1個の細胞を検査対象としているのに対し、生検では、細胞組織(すなわち細胞の塊)を調べるので、細胞が集まって形成されている組織の構造の異常も観察でき、細胞診より正確な診断が可能とされています。


具体的に子宮がん検診を例にとって説明しましょう。

子宮がん検診では、まず細胞診が行われ、その結果が以下のようなクラスに分類されます。 これを日母分類といいます。 日母とは社団法人日本母性保護産婦人科医会(現在の日本産婦人科医会)の略称です。

 子宮がん検診の細胞診結果の分類(日母分類)
  ・ クラスI : 正常である。
  ・ クラスII : 異常細胞を認めるが良性である。
  ・ クラスIIIa : 軽度〜中等度異形成を想定する。
  ・ クラスIIIb : 高度異形成を想定する。
  ・ クラスIV : 上皮内がんを想定する。
  ・ クラスV : 浸潤がん(微小浸潤がん)を想定する。

一般に、細胞診でクラスVという結果が出たとしても、診療上の診断確定とはせず、治療方針を決めるために、さらなる精密検査を受けることになります。
同様に、がん保険においても、細胞診の結果のみの時点では、上述の契約上の「がん」の診断確定にはあてはまらず、がん診断給付金などの支払いの決定には至りません。

細胞診結果クラスIIIa以上では、一般にその後の精密検査として生検が実施されます。 がん保険では、医師によって生検の結果、「悪性新生物」、「上皮内新生物」との診断が得られた場合に診断確定となります。
生検などによる診断確定の結果が「異形成」である場合は、約款上とくに定めがない限り、がん保険の保障の対象とはなりません。

なお、がんの部位や病状などによっては、病理組織学的所見(生検など)が得られない場合があります。したがって、がん保険の約款には以下のような一文が加えられている場合があります。
「ただし、病理組織学的所見が得られない場合は、他の所見による診断確定も認めることがあります」。


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